天職について 武村氏逝去に思う

昨日、久しぶりにお気に入りのスタジオに練習に行きました。 
 
 そこで聞いたのは大変ショッキングなオーナー逝去(昨年12月28日)のことでした。 享年56歳とのことです。
 スタジオのオーナーは、PA屋さんとして名を馳せた方で、奥様はスタジオ、オーナーはPAの仕事という具合に役割分担して精力的に活動されていました。 
 以前に入っていたバンドのライブにも何度か来ていただき、スタジオでの練習後、夜の12時を過ぎた頃にPAの仕事から帰ってこられて、そのあと何時間も話をしたこともありました、 
 仕事にはとても厳しい方だったのですが、とにかく優しい方で、それもチャラチャラしたうわべの優しさではない包み込むような優しさで全ての人に接しておられたような気がします。 私のような、これまでそれほど親密にお付き合いをしていない者でも訃報を聞いて大変ショックでしたので、親しい間柄の方々の悲しみは計り知れないものがあると思います。
 音楽が大好きで、大学卒業後、楽器店に少しの間勤めたあと、自分の会社を興して現在に至っていました。 音楽業界という魑魅魍魎の世界で25年以上も続けているというのは、ご本人の音楽への情熱と人間の大きさあってのことだと思います。 通夜、告別式にはのべ500人もの参列者が全国からかけつけたと聞きました。 
 56歳という短い人生で幕を閉じられたのですが、自分の好きなことに、頑固に、真面目に、真摯に取り組んで生きてきて、たくさんの人に愛され、頼りにされてきた人生は、ある意味大変充実していて、「魂」は充足され、とても幸せだったのではないかと思います。(すみません 勝手な憶測ですが。。。)
 もちろん、その幸せは他人から与えられたものではなく、自分の好きなこと、やりたいことを妥協せず続けてきたからこそ得られたものであると思います。 
 「妥協せず続ける」というのは、言うは易しで、実際には、「強靭な精神力」「人より抜きんでた実力」を備えていなければ出来ません。 中途半端な幻想を抱いて音楽業界で行き続けることは出来ないのです。 強靭な精神力があっても、実力がなければ仕事は来ませんし、実力があっても、コツコツと続けていく精神力、欲望に負けない精神力そして人と調和する能力がないと四半世紀も続けることは出来ません。
 だからこそ、人は皆、彼の死に直面して、そんな稀有な人材を失ったことを悲しみ、告別式にかけつけたのでしょう。 
 そして、彼の生き様を改めて再認識し、自分はどうなんだろう? と自分自身に問いかけたのではないでしょうか。 自分は「好きなこと」を職業にしているのだろうか?
 「好きなこと」とは、欲望の赴くままという意味ではありません。 好きなこと=自分の魂が充足されること なのです。 それは、そのことをやっているときは「時間を忘れられること」そして「嫌な作業やシチュエーションでも精神的に苦しくならないこと」です。 それは人それぞれに必ず何か一つは持っているはずです。 ただ、それに気付いていない人が大多数なのではないでしょうか。 言い換えれば、「職業」と「好きなこと」のミスマッチ状態の人がたくさん存在するのです。
 最近、鬱病で自殺する人が急増しています。 昔からミスマッチは多かったと思いますが、最近では、物事のスピードがどんどん速くなり、人へのプレッシャーはかって無いほど高まっています。 そういう状況下ではミスマッチの人にとっては、日々ストレスとの戦いになってしまうのかも知れません。 
 読者のみなさま、あなた様は、自分の天職を知っていますか?
 いろいろと考えさせられます。。。 
 T氏のご冥福をお祈り申し上げます。 

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