ミクロの記憶

 今の会社に入社して間もない頃、会社の独身寮から工場への通勤は徒歩でした。29年前の話しです。
 
 毎朝、1.5kmの道のりをテクテクと歩いて通いました。
 
 京都の四条通りという片側2車線の道の歩道を延々と歩いたのですが、
 途中、妙に存在感のある電信柱がありました。 存在感があると言っても他の電信柱と同じコンクリートの普通の電信柱です。
 
 でも、毎朝、その電信柱の近くに来ると その電信柱を意識してしまいます。
 
 ある日、その電信柱を立ち止まってじっと見つめてみました。 別に何を期待していたわけでもなく、なんとなく立ち止まって見つめたのです。
 
 全体をボーッと見たのではなくて、近くに寄って電信柱の表面の細かいところをじっくりと見たわけです。 
 
 普段の遠目の視点ではただの灰色の棒にしか見えない電信柱ですが、ちかくでマヂマヂと見ると、いろんな細かい模様なども浮かび上がってきます。
 
 その時、なんとなく、「30年後にこの模様を見ることがあるのだろうか」と思ったことを今でも憶えています。
 
 みなさんは憶えていらっしゃいますか?
 
  小学生の頃、教室の自分の机の上を鉛筆でらくがきを書いて、先生に怒られて消しゴムで消した時の消しゴムのカスのカタチ。
 
  未舗装のジメジメした路地裏の端でしゃがんで見たダンゴ虫たち。
  
 お若い方々へ。
 
 そういうミクロの記憶を憶えておくと、何のメリットもありませんが、後々思い出すと楽しいですよ。
 
 
 

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