自然農法について

自然農法とは

 小さな貸し農園の一角で「自然農法」を実験していますが、自然農法といってもなんのことかよくわからない方も多いと思いますので、私がやろうとしている自然農法について少し長くなりますが書いてみようと思います。これらは、自然農法の書籍にもたくさん書いてありますし、私が新たに発見したものではありませんが、一年半、自然農法の真似事をやってきて、「多分正しいだろうな」となんとなく感じていることです。

 大地を耕して土が見えている状態でしばらく放っておくとどうなるでしょうか。

 まず草が生える(草はその土地に足りないものを供給する種類のものが自然と生えてきます)、微生物が棲みつく、花にいろいろな生き物がやってくる、草や微生物や極小の昆虫を捕食する生き物が集まって食物連鎖が起きる、草が枯れて微生物で分解されて土に戻る、生き物の糞や死骸が微生物や極小昆虫のエサになり、また、土に窒素系の栄養分を供給する。 土の中では、草が枯れて根も枯れてそのまま分解されて栄養分となり、根があったところが空気の通り道となり、土の中深くまで微生物が生きる環境が生まれ、土の中深くまで捕食サイクルの世界が出来上がり、土の表面だけでなく土の中深くまで肥沃になっていく。

こんなサイクルで植物と生き物が共存する土壌が出来ていくわけです。

 畑を耕してしまうとどうなるでしょうか? 耕すということは、土をひっくり返してごちゃごちゃにするということであり、土の中の「バランスのとれた社会」を完全に破壊してしまいます。生き物は死に絶え、微生物もいなくなり、自然の栄養素供給が途絶えてしまいます。 そうなると、人工的な肥料供給が必要になってしまいます。
 
 人工的な肥料供給では栄養素を必要以上に供給してしまったり、肥料そのものが微生物等の生きる環境を破壊してしまったりして、捕食サイクルの生成を阻害し、自然の栄養補給サイクルがまわっていきません。
 
 植物が「健康に生きていく」為には、よく言われている3大栄養素だけでは駄目で、ミネラル等の極少量の栄養分が必要とされています。耕してしまうと食物サイクルの中から供給されていた微量栄養素の補給がほとんどありません。その結果、野菜は人工的な肥料で大きく育つものの、所謂「不健康」な状態で育ってしまいます。

 植物は、土壌に過剰に存在するものを吸い上げて虫に食べさせて本当に土壌に必要なものに変えていく性質を持っています。 ここで、過剰に存在するものとは、肥料の成分そのものです。せっせと肥料の成分を吸い上げて、その結果葉っぱも実も大きくなりますが、それを虫たちが一所懸命食べてくれます。自然の摂理として、そうやって土壌の不要なものを処分しているわけです。だから、肥料を施せば施すほど虫が集まるというわけです。考えれば考えるほど自然は人知を超えた精緻なシステムなんだと実感します。
 
 そうやって育った不健康な野菜たちは、自らの生命と引き換えに土壌を改良しようとしてくれているのです。さらに、そういう不健康な野菜は不健康なDNAを残してはいけないので、虫が食べつくしてくれたり、ウィルスがついて枯らしてくれたりします。 病気になるのは、ウィルスが悪いのではなく、子孫を残すことが許されない不健康な野菜を自然の摂理で処分しているということなのです。 
 
 自然農法の野菜にも虫はつきますが、全てを食い荒らされたりはしません。 芋虫ももちろん畑にいますが、そのまま放置しています。それは彼らも食物連鎖の立派な構成員だからです。たとえば、ニンジンの葉っぱにはアゲハ蝶の幼虫がつきますが、彼らは彼らで蜂などの昆虫に食べられてしまって大きく成長することは希です。大きな幼虫がいたら、寧ろ、このままなんとか蝶になって欲しいと応援してしまいます。
 
 今年は、昨年に比べて虫が少ないのでとても心配していました。つい最近までは放射能のせいでは?とか思ったりもしていましたが、貸し農園をぼんやりと眺めていて虫が少ない原因がわかりました。
 
 昨年までは貸し農園の敷地の半分は草が茫々に生えた部分だったのですが、今年の冬にその部分を一度耕して畝にしていたのです。大部分の昆虫は、草そのものや土に卵を産みます。 耕すとそれらの卵は死んでしまいます。多分それが原因で虫が少なくなったのではないかと思っています。
 
 今年は私のやっている自然農法の区画が倍(とはいっても15㎡増)になったので、来年の虫の数は少しは増えるかもしれませんね。
 
 放っておいても自然の摂理で少しずつ土地は肥えていきます。 ただ、自然の流れはあまりに壮大でゆっくりです。 荒れた土地から豊かな森が形成されるのには500年以上かかるとも言われています。 そんなに待てないので、ある程度人が手助けをして、足りない部分を補ったりして擬似的な自然のサイクルを作るというのが自然農法なのではないでしょうか。ですから、畝をほったらかしにはできません。草も、選別をして刈り取ったりする必要がありますし、野菜に太陽光線が当たるように周囲の草を短く刈ってしまったりして野菜に対してはエコヒイキをしてあげないといけません。
 
 こんな感じで自然農法の真似事をしています。 本当は、食物連鎖を擬似的にでも完成させるには、敷地内に池か小川等の「水」があり、実のなる広葉樹があり、狸等の動物が加われるぐらいの敷地の広さがほしいところです。
 
 獣もその中に入れるべきなのですが、熊さんや、鹿さん、いのししさん、お猿さんなど獣が畑を荒らしまわるというのが最近の大きな問題です。 これは、もう一方の自然=山の自然が破壊されて破綻してしまっていることから起きている問題です。 ここでは詳しくは書きませんが、戦後の植林政策で植林しまくった杉、檜などの針葉樹林を放置した結果、山の植物連鎖のクサリがどこかで切れて、僅かに残った広葉樹が生きていけなくなって山から植物の食べ物がなくなった結果だと思います。 獣の畑あらしに対しては、短期的には、柵で囲う等で防御しなくてはなりません。荒らされるから殺すという負のサイクルは辛いものがあります。ですから、山の再生をしないと駄目で、今、その方面ではいろいろな団体が山の再生に向けて活動されていますのでご興味があればGoogleさんに尋ねて日本の山の現状を是非知っていただければと思います。
 
 擬似自然農法で育つ野菜は、100%ではないにせよ、自然の食物連鎖の一員として生き生きと生命を全うしつつある野菜です。 彼らには生命力があります。 もともと生き物は食物連鎖の下位に属する生き物を食べて生きています。 食べるというのは栄養分の取得もそうですが、「生きる力」を回していくということでもあるような気がします。 だから、人工的に過剰な肥料で肥満体になり薬漬けにしないと虫に食べられてしまう不健康な野菜よりも、生命力豊かな野菜を食べたい・・・・・ そう思って自然農法をやり始めました。
 
 今では、ここで記述したことが本当にそうなのかを出来るだけ具体的に検証したいという願望も加わりました。だからもう少し広いところでやりたいなぁ、、、、、と。

以下に、特に影響を受けた情報源を記載しておきますね。

野人エッセイす