時のないホテル にまつわる思い出 海星女子大のオカルト話について

今から25年ぐらい前のこと。今は2007年だから1982年か1983年頃

当時、京都に独りで住んでいて、休日は毎週のように国道171号線と国道2号線で神戸に行っていたように思う。

ある日、

六甲の麓の海星女子大という大学で、午前3時になると、そこの大聖堂?の屋根にあるマリア像が動き出す

という噂を耳にした。

 早速、独りで確認に行くことにした。 よほど暇だったのだろう。

 季節は秋、週末の午前3時前、大学のマリア像が見える位置でクルマを停めて3時になるのを待った。

 閑静な住宅街なので、午前3時ともなると、人通りもほとんどない。 カーステレオで、ユーミンの「時のないホテル」を聴きながらマリア像が動き出すのを待っていた。

 本当は動き出すはずがないことはわかっていたのに、間違いなく動き出すという「嘘の自信」のようなものがあった。
当然のことだが、3時を過ぎても何も起こらず、とりあえず用意していた135mmの望遠レンズと高光度のストロボをつけた一眼レフカメラも使うことはなく 生まれて初めての、そして恐らく人生で最後の 超常現象撮影会は終了した。

 もちろん、動かなかったことに対してがっかりもしなかったし、当たり前とも思わなかった。 今日のところは動かなかった。 ただそれだけだ。 けれども、二度とここに午前3時に来ることはないだろうということもわかっていた。

 しばらく、「時のないホテル」をクルマの中で聴いていた。その日は妙に明るい夜で、ヘッドライトに照らされた坂の並木道は月の光でセピア色に染まり、マグリットの絵画のような雰囲気を醸し出していた。

「シュールだなぁ」と独り言をつぶやいたかどうかは憶えていないが、絶対に呟いたと断言する自信はある。


あの人が 愛のかわりに 残していったのは 声たてて笑ったあとに 遠くを見る癖。
あの人の途切れた行方捜すように すれちがうおなじコロンに振り向いてしまう癖。 (コンパートメント by Yumi Matsutoya)

 時のないホテルに入っている曲は、「死」にまつわる曲が多い。 ユーミンにしては、といったら失礼だが、皆とても内省的な曲だ。 だから、ユーミンのアルバムの中で一番好きなのかもしれない。 

 こういうユーミンが本当のユーミンであって欲しいと願っている自分がいる。

海星女子大にはその後、妻とまだ付き合っていた頃、学園祭の大江千里のライブに行ったことがある、何気に若いころの思い出にしばしば登場する大学だ

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