以下の記事は2005年10月17日にupしたものの再掲載です。
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キースジャレットのソロコンサート(Festival Hall)に入ってきました。 全編インプロビゼーション(だと思う)。
19:00開演で、途中20分の休憩を挟んで2部構成。 アンコールを4回もしてくれて終了は21:20でした。
[経過]
一曲目は、 調性の曖昧なフーガのような不思議な旋律が延々と続く。 響きがとても美しい。2曲目以降、だんだんと調性感がはっきりとしてきて、3曲目などは、A melody at night のアルバムを聴いているような たまらなく可憐な曲でした。
ところが、確か4曲目?の出だしの1小節目で、なんと客席の携帯電話の着メロが響き渡りました。
あれだけ、くどいように「スイッチ切れ」と言われてて消し忘れるのかあ????
キースは、当然演奏をやめ、「まいったねこりゃ!」みたいなゼスチャを見せました。
あーーぁ ぶち壊しじゃねーかよ?。。。と思いながら、客席はシーーーーーーンと静まりかえり、キースの次の反応を待ちます。
キースは瞑想するようにしばらく下を向いていましたがねおもむろに曲を弾き始めました。
調性なしの早いパッセージの曲でした。
キースのイラだちが伝わってきました。
途中で途切れた最初のフレーズの甘いゆったりとした感じは微塵もなくなってしまっていました。 次の曲では調性は取り戻していましたが、イマイチ客席とキースとのインタープレイ的な一体感はありませんでした。
それで前半終了です。
さて、20分の休憩後、後半が始まります。
後半は、最初からノリにノッていました。
別に、早い曲だったわけではありませんが、キースの奏でる音に聴衆が引き込まれてホール全体が一体となるような感じです。
そして、決定的だったのは、何曲目かは忘れましたが、曲間で、キースが水を飲んだ時のことです。
水を飲み終わってコップを脇のテーブルに置いたとき、「コン」という小さな音が響きました。すると客席から「クスクス」という押し殺した笑い声が。。。
キースはそれを聞いて、またコップをとりあげ、今度はもっと大きな音でテーブルに置きます。少し大きな声で「クスクスクス」。
それを3回繰り返して、
最後は、キースがピアノ線を叩いて「ビン」→「ウワッハハハ」。。。
キースは大阪人のノリがお好きなようです。
その後の演奏は、神がかりと言っていいのではないでしょうか。
「美しい」としか形容できないくらい素晴らしい演奏でした。
あっという間にその後の数曲も終わり、「素晴らしい演奏をありがとう?」と心から感謝しながら拍手を送りました。
そして、なんとアンコール4回です♪ 最後は、客席照明も点灯して、アナウンスが「本日は、、、」と放送しているときも拍手がなりやまず、なんとキースが登場し、ピアノの椅子に座り、照明が消え、最後のアンコール。。
というなかなか体験できないこともやってくれました。 そして、最後の曲のエンディングは、ピアノ線「ビン」とコップの「コン」で笑いをとって終了。 そのときは、マジで放心状態でしたよ。
第二部は 聴衆の「気」とキースの「気」がすんなりと融合していたような気がしましたが、実際キースはどう思っていたのでしょうかね。
私は、あのパフォーマンスならば本当に一体化していたと思います。 いや思いたい。。。 そんな演奏でした。
ただ、ちょっと気になるのは、14日の東京芸術劇場での悲惨な状況を後で知ったのですが、コップの「コン」は、「やっぱり君たちにはこんな雑音がお似合いさ!」みたいな気持ちになっていたのかなぁ。。。ということです。
確か、14日もアンコールは4回だったらしいですし。。
でも、やっぱり、大阪ではキースと聴衆が一体となれたと思います。
[感想]
やはり、キースはソロがいいですね。 後半に演奏した、ショパンのノクターンのような曲、ブルースをモチーフにした あれはなんて形容したら良いのかわからないが ブルースコードは完全に消されて香りだけが残っている美しい現代音楽 とでもいいましょうか、一番拍手が大きかった曲です。
それと、右手はオクターブの一音連続で、左手でメロディと調性を出していた曲(全編ペダルトーン) この3曲が 個人的にはベストでした。
それと、キースはカッコいいおじいさんですね。 あんな風に歳をとりたいと切に思いますが、ギャップがありすぎて。。。。。
次に大阪に来るときも絶対に逃さないと誓います。
メッセージ