昔ながらの床屋さんの思い出

昔ながらの床屋さん

結婚して25年が経過しました(現在2010年です)

今回は、25年前(1985年)、結婚式当日の話です

独身時代は京都市内の会社の独身寮に住んでいました

その頃、毎週土日の仕事が休みの日の朝食は、京大百万遍の近くの京都進々堂というパン屋さん併設の喫茶店でモーニングを食べるのが習慣になっていました

朝10時頃今出川通りに路上駐車をして、クロワッサンとコーヒーを飲みながらタバコを一服するひとときは本当に幸せな時間だったと思います

その進々堂の3軒ほど西にひなびた床屋さんがありました

クルクルと廻るあの看板が店の前に鎮座して、ホーロー洗面台が置いてあるレトロな床屋さんでした

1985年のことですが、当時でもそんな古色蒼然とした床屋さんは珍しかったと思います

そこを切り盛りしているのは70歳くらいのおじいさんで、最新の髪型などにはまったく興味が無く、いつも7:3にきちんと分けて整髪してくれました

当時、私も髪の毛=髪型 にまったく興味が無く、8ケ月に一度くらいの間隔でその床屋さんで切ってもらい、そのあとはのばし放題で、散髪する直前はボサボサのすごい髪型になっていました
 
それで、結婚式の前日まで、そののばし放題の髪の毛のまま放置してしまい、結婚式の当日、ようやく

「これではちょっとマズイな」

と思い、朝一番9時にその床屋さんに駆け込みました

「おはようございます」

「いらっしゃい」

「今日は結婚式なのでさっぱりと切ってください」

「おぉそうですか、それでは」

という会話をかわして早速散髪が始まります

「ご友人の結婚式ですか?」

「あっいえ僕のです」

「えっ!!!!?」

ここでおじいさんはハサミを床に落としました

「ぁぁぁ失礼しました。そうですか、おにいさん結婚されるんですか! おめでとうございます」

「おおきに! 結婚式の時はここで切ってもらおうと決めていたんです」

おじいさん、ここでまたハサミを床に落とす。ハサミを拾いながら

「それは大変光栄です! 心して切らせて頂きます!」

「お願いします」

かくして、口を真一文字にして気合を入れなおしたおじいさんはいつもよりも慎重にそして丁寧に7:3に揃えてくれました

その間、3回ハサミを床に落としましたが、上々の出来です

その日は、いつもは塗らないポマードをたっぷりと塗ってガチガチの7:3頭に仕上がりました!

丁寧にお礼を言って路上駐車していたクルマに乗り込むとすでに時間は10時を回っています

ヤバイ! 10:30には会場入りしていないといけません

当時、放蕩生活でお金がなく借金付きで結婚した私は、安い会場を探して京都の西のはずれの公共の施設で式と披露宴をあげることにしていたのです

会場にクルマで着いたときにはすでに11時、30分も遅刻です、しかも連絡もせず、、、、

携帯電話などなかった頃です 

会場では新郎がいない! と大騒ぎになっていました

そんなところに、見事なまでの7:3、しかもポマード付きの新郎が現れたのですから一瞬場が凍りつきました

しかし、さすがにみなさん大人です。 すぐに、遅れてきた新郎に怒りもせず、いや、お怒りだったと思いますがそんなそぶりは一切見せず、7:3頭を見なかったことにして、バタバタと新郎新婦の準備を続けたのでした
 
あの7:3分けは、日頃ボサボサ長髪の私を知る人はもちろん初対面の人にも強いインパクトを与えたようで、

「いまどきあんな髪型の人がいるんだ?wwww」

と妻の友人の間でしばらく話題になっていたらしいです

考えてみればそんなことを言われても平然としていた妻は今思えばたいしたもんだと思います

それから数年経過した頃、その床屋さんは休業し、閉店しました

あのご主人はご存命かしら

あのとき、きっちりと散髪していただいて、おかげさまで25年後(2010年)も仲良く暮らしています。 おおきに!

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