痔の予防・治療のあり方について

痔の予防・治療のあり方について

こんにちは、今年(2019)の3月に痔の根治手術を受けて30年ぶりに正常なお尻を手に入れたOgataです。

膨大な量の痔の手術体験記をつい先日書き終えて、痔についての記事はもうこれで終わりですと宣言しておきながらまた痔に関する記事を書いてしまいました。スミマセン。本当にこれが最後ですので読んで頂けたらうれしいです。

 かなり重症化するまで放置した末の手術だったので完治までだいぶ時間がかかってしまいましたが、その間、ネットと主治医との会話で沢山のことを学びました。

 今回は痔の原因と予防について少し熱く語ってみたいと思います。 なぜ熱くなっているかと言うと、あれだけ長年苦しんだ痔の原因が「排便が不十分だっただけ」ということを今更ながら教えられ、こんなに簡単・単純なことを何故日本の社会は小学生の時に教えてくれなかったのか!! とある種の怒りがこみあげてきたからです。

痔の本当の原因とは=出残り便説

  ここで言う「痔」とは「切れ痔」と「いぼ痔」そしてそれが悪化した「裂肛」・「脱肛」のことを指します。 痔瘻は原因も症状もまったく別の病気ですので今回の議論の対象ではありません。

出残り便とは何か

 痔の根本原因が「出残り便」であるというのは、私の主治医の佐々木先生が提唱する学説ですが、私のこれまでの生活習慣と痔の悪化の歴史を振り返るとまさに「出残り便」が原因であると自分自身でわかるのです。

 出残り便とは、排便後にまだ直腸に残っている便のことです。

 出残り便があると次の排便まで(通常は翌日)ずっと便が直腸にとどまることになります。

 人間の身体はもともと直腸に来た便は全て出し切ることを前提に作られていて、直腸は空であることが普通の状態であり、そこに常時何グラムかの出残り便があると、直腸及びその先の肛門がうっ血しそれが続くといぼ痔になる。

 また、出残り便は次の排便までに硬くなってしまうため便自体が肛門を傷つけたり、過度ないきみによってうっ血が更に悪化する。

 こんな感じで痔が形成・成長していく、というのがこの学説のアウトラインだと思います。

痔の原因=うっ血とうっ血を生む生活習慣について

 痔の原因が肛門のうっ血であるというのは常識となっていて、うっ血する要因とされるものとして、

 

・長時間座る
 ・長時間しゃがむ
 ・深酒をする
 ・下半身を冷やす
 ・排便時にいきむ
 ・便秘

 などが挙げられて痔の予防としては、そういう状態にしないことというのが世間常識として定着しています。

 しかし、実際痔になってしまった場合、それらを意識して生活しても一向に良くならないというのもまたよく聞く話ですし、逆に長時間座り仕事を何十年やっていて酒もガンガン飲んでいる人でも痔にならない人はたくさんいますよね。

 これはいったいどういうことかと言うと、先ほどの肛門のうっ血の要因に「出残り便」を加えるとわかりやすく説明が出来ます。

 <主要因> 

 ・出残り便

<その他大勢の要因>

 ・長時間座る
 ・長時間しゃがむ
 ・深酒をする
 ・下半身を冷やす
 ・排便時にいきむ
 ・便秘

 恐らくこんな構図ではないかと思います。 うっ血の要因としてはとにかく出残り便の割合が高くてあとの項目はおまけみたいなもの。

 そう考えると、出残り便を放置した状態で他の項目を改善したとしても痔は良くならないし、出残り便がなければ他の項目がいくら該当していても痔にはならない。そういうことだと思います。

 痔になる人の多くは、出残り便も他の要因も全て当てはまってしまう人が多いため、一般常識化している「その他大勢の要因」については一生懸命改善しようとしますが、出残り便は放置したままなので結果的になかなか治らないということですね。

ここで余談ですが、出残り便と便秘って同じことじゃないの? と思った方も多いと思います。

 違いを一言でいうと、

  便秘 : 便が、ある一定期間排泄されないこと。多くの場合、便が直腸内で固くなって切れ痔を誘発します。ただし、直腸に到達する前に留まってしまっていて直腸は空っぽという場合もあると思いますので出残り便とはやはり似て非なるものと言えます。

  出残り便: 毎日排便するとかしないとか関係なく排便後に直腸に便が残っていること。肛門がうっ血していぼ痔の原因そしてすべての痔の悪化要因になります。その状態で一定期間排便しないと「出残り便」と「便秘」のダブルパンチで痔が悪化することでしょう。

 おわかり頂けたでしょうか。そうです、便秘且つ出残り便という組み合わせがお尻にとっては最凶の組み合わせなのです。そして恐らく便秘の人はすべからく出残り便があると思いますので恐ろしいことですね~

痔の原因=出残り便説は異端である

 この説はまだ医学界では異端の立場とのことですが、この学説が肛門科のメインストリームになる日が来れば、痔で苦しむ人は激減するのではないかと思います。

 私の主治医だった佐々木先生は現場の臨床医ですので実際に医学界で認めてもらうための学術論文に必要な臨床データの収集などがなかなか出来ない環境にあり、せっかく痔の予防についての画期的新説が世の中に生かされない状態にあるというのが歯がゆいばかりです。

異端から本流への道筋

 50年後、2070年頃にはこの学説が常識化していて、皆が生活の知恵として出残り便とならない生活習慣を身に着けている、そしてその結果痔という病気は一部の特殊な症例を除いて過去のものとなっている、そんな未来になって欲しいものです。

では、今のような状況を打開するためにはどうしたら良いのでしょうか。

 私は医学会の中の人ではないのでここから先は(というかこの記事全体が)超テキトーなことを書きますが、あくまで方向性の話として読んで頂けたら幸いです。

 大きく二つの観点から考えてみたいと思います。

 一つ目は、

   ①学術的な裏付けの強化と学術的評価の獲得

 もう一つは、

   ②一般社会への認知の拡大

この二つはどちらか一方が欠けても「出残り便痔の原因説の常識化」にまで到達できません。双方が影響しあって少しずつ前進していくようなイメージです。

学術的な裏付けの強化と学術的評価の獲得

 それではまず、学術的な裏付けの強化と学術的評価の獲得 について書いていきたいと思います。

現代社会は「権威」によって全てが判断され世の中が動いていきます。よって、権威=医学会のお墨付きを得るのが一番の近道ですが、それがなかなか難しいということは容易に想像がつきますね。しかしそれは避けて通れないことですので、恐らく佐々木先生を始めとした出残り便説を提唱する先生方はその道筋をきちんと見据えて活動されていると思いますが、ここでは、ど素人の私見として「私なりの道筋」を書いてみたいと思いますので皆様ご笑覧くださいませ。

 この権威化というのは現代社会においてはとても重要で、一度でも社会的に「トンデモ学説」として認知されてしまったらグーグルの検索からは無視されるしこの世の中から「なかったもの」としての取り扱いを受けかねないため、如何に権威付けを行うかが大切なのです。

大学でのデータの蓄積

  せめてどこかの大学の研究医が、以下のような研究をしてデータを積み重ねていくというのは不可能なことなのでしょうか。

  ①出残り便も含めた痔の原因項目別に肛門のうっ血の状態を数値化してデータを取る。
  ②出残り便だけを対象に、直腸に残った便の重さ別にうっ血の状態を数値化してデータを取る。
  ③出残り便を放置した集団と改善した集団との痔の状態の比較データを取る。
  ④痔の患者のうち出残り便改善によってどれだけ治癒につながったかのデータを取る。
 
  こんな風にデータを残してこの説を補強して頂けないかなと思うのですが、冷静に考えられると痔というのはそれ自体が命にかかわるものでもなくそんな大したことのない病気に大学の医学部がカネを出すのかという話なんでしょうね。

 

痔の予防についての社会的意義を明確にする

  ということで、

痔というのは生き死ににも影響しない軽い疾患でありお金をかけて研究するに値しないと今の医学会では考えられているのかもしれませんが、痔によってどれだけ社会的損失が生まれているかの仮説を立てて論文として発表出来れば、医学会として真面目に取り組んでもらえるきっかけになるのではないかと思います。(甘いかなぁ)

 痔で苦しんでいる人は恐らく相当数存在すると思いますし、痔の症状による生産性の悪化を数値化出来れば相当大きな社会的損失をもたらしているという結果になるのではないかと思います。

 また、現在の痔の治療、手術によって支払われている健康保険の金額はわかると思うので、仮に予防出来たと仮定したらどれだけの治療費が節約できるかという計算も大切だと思います。
 
 更にもう一歩踏み込むと、出残り便が無い状態で生活すると他の大腸の疾患も減っていくのではないかと思うのでそういうデータも蓄積して論点を明確にすれば社会的な重要性も認めてもらえるのではないかと思います。(甘いかなぁ)

各病院による実際の患者をベースにしたデータの蓄積

これは、出残り便悪玉説を唱える病院がそれぞれ単独ではなく連携してデータを蓄積する仕組みを作ることが出来ればたとえ大学で研究されなくてもデータは揃えることが出来るかもしれないということです。私はその方法論についてはまったくわかりませんが、調査項目、調査方法を細かく設定して統一されたデータベースに収納していくことにすれば良いと思うのですが。。。。

出残り便をなくす具体的方法の明確化と社会への提示

現在の出残り便悪玉説の一番の弱点は、出口戦略が無いことです。出口とは問題の解決方法であり、出口戦略とは「痔にならない為の具体的な予防方法をわかりやすく提示すること」なのです。 しかしながら、現状では

  痔を予防・治療するために、、

  出残り便をなくすために頑張って排便してください

   或いは

  レシカルボン座薬を使って全て排出してください

  のどちらかしかありません。

  これだけでは少なくとも一般の人に対して訴求する力はないですね。何故ならば一般の人が理解できる方法が明示されていないからです。

  現在の一般社会常識として、痔はこんな風に捉えられていると思います。

  ・痔の原因は座り仕事や酒の飲みすぎなど生活習慣によるものである為予防は不可能である。
  ・痔の予防は出来ないが、病院や薬で治していくもの。

  この間違った一般常識を変えるためには、「痔の予防が可能なこと」 と 「具体的な予防方法=出残り便をなくす具体的な方法」を広く世の中に提示する必要があるのです。

   私はどうやってその方法を明確化できるのかまったく想像もできませんが、それが具体的にわかって提示できればそれによって社会が変わるほどのインパクトがあると思います。

消化器内科との連携が必要

   出残り便をなくす具体的な方法を明確にする為には肛門科医だけではなく消化器内科医の参画が必要です。

   便がどのようなメカニズムで排便されるのかの前に、どのようなメカニズムで直腸に送られてくるのかも含めて明らかにして、当然個人差もあると思うので便が全て排出されたということはどういうことなのかとか、何故排出されず残ってしまうのかとか様々な角度から分析してデータを集めて、具体的にこうすれば全て排出できるという方法論まで持っていけたら完璧なんですが。。。。

   肛門も本来は消化器の一部であり、出残り便をなくすというのはむしろ大腸・直腸の問題でもあるので、ここは肛門科医と消化器内科医がタッグを組んで具体的な方法を見つけ出すのが一番の早道だと思います。 消化器内科医を巻き込む為にも前述の痔をなくすことによる社会的な影響の大きさの試算は必要だと思います。

   消化器内科の先生方はどう思われているのでしょうか。

   (甘いかなぁ)

一般社会への認知の拡大

 

じわじわと草の根で理解者を増やす

学術的な話が中途半端に終わってしまい恐縮です。社会的認知については、私のような患者一人一人がこうして末端で情報発信していくのも一つの方法ですが、出残り便説を提唱する肛門科医が連携してWebサイト等での情報発信や講演会なども有効ですね。これらは現在でも診察・手術の合間を縫って時間を調整しつつ積極的に取り組んでいらっしゃると思います。

   これにプラスして、youtubeチャンネルを開設して世間一般に訴えることも効果大ですね。

   大阪肛門科診療所の待合室で流れているDVD?を使ってコンテンツを作っても良いですし、先生がblogに書いた記事をカメラの前で説明するみたいなことでも良いと思います。

   youtubeでうまく立ち回ることが出来たらblogとは比較にならないくらいの影響力があるのでこれが実現すればよいのですが、これをやるにも時間という資源が必要になりますからね。。。

マスメディアを利用して一気呵成に広める

   こういう地道な活動を続けることによって社会の理解をジワジワと増やしていくというのが現時点での最適解と思われますが、

   次のステップとして、前述の学術的な強化が少し進んだ段階でTV等のマスメディアを使って広く訴えることで一気呵成に理解者を増やすことも考えておきたいところです。

   TVで特番を組んでもらうためには、

    ・話題性(痔は国民病であり問題なし)
    ・意外性(痔の原因がまさかの。。。で問題なし)
    ・影響が大きいことの証明(痔が無くなった社会の素晴らしさと社会コスト減の大きさ)
    ・世間が知らないノウハウの伝授(これをするだけで痔が予防できる!)
    ・権威によるある程度の裏付け(ちゃんとした医者が提唱している、論文もある)

   が必要ですが、前述の対策をある程度クリア出来ていればなんとかなるでしょう。

   痔がなくなると肛門科医の大半は失業ですから社会的なインパクトは大きいですよね。
   

10年後には痔という病気はこの世から消えてなくなっている!!
  – 初公開!! こうするだけで痔が治り予防できる、肛門科医が明かす新常識!! —

なんていう刺激的なタイトルのTV番組が近い将来放送されるのを期待したいですね。

 

痔が無い社会へ–本の執筆

マスメディアで広く訴える前でも、本を出版しておくのも良いと思います。実際に毎日臨床で働いている先生方ですので実際にご本人が執筆するのは到底無理ですが、大部分の著名人がやっているように良い意味でのゴーストライターを使えば簡単に出版することが出来ます。

   日本はまだまだ権威社会ですので本が出版されているということだけで信用力が増しますから。

行政が認めて政治が法制度から変えていく

ここまでくると最終段階です。というか、ここからがスタートとなり、50年後の痔の無い世界につながっていきます。

   厚生労働省が出残り便をなくす活動を後押しするための通達を出したり、保険点数の見直しをしたり、要はすれば法律まで変えてしまう。極論すると痔の無い人は税金が安く済むようにするとか、世の中がその方向に進めば大抵はそんなようなやり過ぎな状況にまでなるのが普通ですよね。

そうやって世の中の常識が変化していくのですが、どのようにこれから進んでいくのでしょうね。

50年後が楽しみです。私は生きてませんが。。。。

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