祇園祭お囃子についての講演会

 京都市主催の祇園祭のお囃子に関する講演会を聞いてきました。 講演会は2部構成で、第一部は民俗芸能研究者による祇園祭お囃子の変遷、そして第二部は、現役のお囃子演奏者による囃子方の内情について。

 二つの講演は共に「なるほどー」とか「へぇーーー」とか呟いてしまいそうなお話がたくさん聞けて大変面白かったです。

 それでは、講演内容をメモってきましたので記録として残しておこうと思います。

京都市が主催する 祇園祭1150年記念事業レクチャーシリーズ「祇園祭温故知新」の一環として開催されました。

日時:

2019年11月8日(金)10:00- 京都アスニー

演題:「コン・チキ・チンの成立」

講師: 京都市文化財保護審議会委員 山路興造氏

講演の概要

・祇園祭のお囃子の形態がどう変わっていったかを祇園祭発祥の1150年前から現代に至るまで解説する。

メモ

・祇園祭山鉾のお囃子は、鉾・曳山のお囃子と、傘鉾のお囃子と二種類あるが、傘鉾のお囃子は今回の話の対象ではない。

・「コンチキチン」は鉦(かね)の音をさしている。

・鉦とは、お寺でお念仏のときに使うもので普通は表側を打って音を出すが祇園祭のお囃子(以下お囃子)では鉦の裏側を打って音を出す。

・コンは鉦の裏側の真ん中を打って出る音、チキは鉦の裏側の上を打ってでる音、チンは鉦の裏側の下を打って出る音。

・お囃子は祇園祭の「山鉾」のお囃子のことを言う。祇園祭には山鉾ともう一つ「神輿」という構成要素があるが、今回のお囃子は山鉾でのお話。

・鎌倉時代末期、1323年の絵には、剣鉾を人が持って町を回る様子が描かれている。これは剣鉾祭りと言って各地で行われていた。剣先に「厄」を集めるために剣鉾を持って町内を巡回する。 祇園祭りでも同様のことが行われていた。

・南北朝時代の絵(1369年)には、曲舞(くせまい)を演じる車付きの舞台が描かれている。また、作山(つくりやま)も3基あったとされている。

・15世紀の月次祭表図模本には、お囃子が乗った鉾が描かれている。お囃子は太鼓、小鼓(こつづみ)、笛でありまだ鉦は登場していない。類推すると応仁の乱以前に既に鉾にはお囃子が乗っていた。また、鉾には剣鉾が載せられ現在の姿となっている。

・剣鉾祭りを行っていた他の地域は、車のついた大きな舞台がなかったため現在でも人が剣鉾を持って練り歩く姿がそのまま残っているが、祇園祭は車付きの舞台に剣鉾を乗せたため現在の姿になった。

・1520年の町田本洛中洛外図の絵ではまだ鉦は書かれていない。

・1560年、上杉本洛中洛外図の長刀鉾の絵には太鼓、笛が描かれている。

・祇園山王祭礼図(16世紀半ば)の絵に初めて鉦が描かれている。江戸時代の少し前に鉦がお囃子に加わったと思われる。

・鉦がお囃子に加わった意味として、それ以前は舞台上で披露される舞いの伴奏がお囃子の主な役割であったが、鉦が加わり舞いとは関係なしに山鉾の進行の為に演奏されるようになった。

・洛中洛外図には鉾上に女性の姿がたくさん描かれている。現在では女性は上がれないシキタリがあるが当時はそうでもなかった模様。(いつ頃から変化してきたかの言及はありませんでした)

・1660年の柳氏祇園祭礼絵図では、稚児の両側の女性が扇で稚児をおあいでいる姿が描かれている。これが現在の禿(かむろ)であると推定できる。

・長刀鉾は幕末の頃に現在の姿とお囃子を含めてほぼ同じ形態になった。

・幕末の頃から、鉦には長い紐がついていて鉾の横に垂れ下がっている。鉦を打つとその紐がリズムカルに上下して視覚的にも楽しめるようになっている。耳の聞こえない人でもお囃子が聞こえるように工夫されている。

・お囃子が最初から入っていた山鉾は、最初から舞台上で「舞い」を演じていた5つの山鉾である。「長刀、鶏、函谷、月、放下」その他は途中からお囃子が入った。

演題:「祇園囃子と共に63年 そして祇園囃子の今」

講師: 祇園祭山鉾連合会副理事長・長刀鉾囃子方太鼓担当 木村幾次郎氏

講演の概要

・現役の囃子方から見た現在の囃子方の内情を解説する。

メモ

・現在、14の山鉾にお囃子があり、それぞれ独自のお囃子を演奏している。

・お囃子の構成要素は、太鼓・笛・鉦の三種類。

・太鼓は能楽で使われる太鼓で二つの太鼓で構成される。

・笛も能楽で使われる能管と呼ばれるもので7つの穴がある。笛は製造時にチューニングされておらず一本一本微妙に音程が違う。その不協和音的な音が祇園祭のお囃子の特徴でもある。

・鉦は重たいが、必ず最初は鉦を担当する。だいたい小学校四年生で囃子方に入るとまずは鉦を担当することになる。鉦をマスターすることにより太鼓が叩けるようになる。

・昭和初期の頃までは譜面がなく全て身体で覚えて伝承されてきたが、だんだんと伝承できずに消えていくお囃子曲が増えてきたため、各山鉾ごとに独自のフォーマットにて譜面(のようなもの)を作成して伝承ツールとして使っている。 

・長刀鉾には30数曲のお囃子があり今ではすべての曲に太鼓・笛・鉦を一度に表記した譜面がある。これと録音で伝承がとぎれる不安はなくなったが、若い人が身体で覚えなくなり本番でも譜面をみながら演奏するようになってしまった。

・お囃子は8ビートである。

・笛は昔はセミプロが請負でやっていた。笛が高価でもっている人が少なかったから。

・太鼓がお囃子のリーダーで、お囃子をコントロールする立場であり重要なパートであるが、最近の若い人は鉦を卒業するとほとんどが笛にいってしまい太鼓の後継者不足が顕著である。

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